本来なら、私の稚拙な絵ではなくて、画家自身の絵を載せて、素晴らしさを紹介したいのですが。
それは著作権に完全に触れてしまうので、歯がゆい思いは在りますが「こんな感じ」みたいな雰囲気だけでも、伝えられたらと思います。
逆効果で、「な〜んだ、こんな感じか」等と、原作のイメージを壊してしまう恐れは十分な訳です。
只、現在の私が、現在の私として在るのは、触れたその瞬間から触発され、憧れ、今では頭の中に住み着いてしまった、絵画だったり、描写だったり、言葉だったりを紡ぎ出して魅せてくれた、此処に紹介する人達の存在が在ったからです。
他にも模写をした絵が無いので、画像として紹介する事は出来ないのが残念なのですけど「東逸子」さん「牧野鈴子」さん「ペーター佐藤」さん「及川正通」さんなどの画集は定期的に眺めて楽しみ、その都度に触発され、私にとっては、描きたいという意欲を刺激してくれる大事な人達が居ります。
単純に、絵を描くことが好きだという理由だけで、習った事も無く、独学で描いていたので、興味本位で独りよがりという後ろめたさは何時も付き纏います。
でも、是非とも紹介したいという思いから、私自身の絵の出来、不出来は脇に置いて、雰囲気だけでも何か伝える事が出来るかも知れません。
昔、美大に通っていた娘が、私の絵を称して「上手い・下手という事を越えて、力で相手をねじ伏せるというタイプの絵」との感想をのたもうて居りました。
確かに、「最近の枝道」の年賀状にみられる様な描きこみや、ひたすら、しつこく点を打ち続ける点描が多いとい事にも表れている様です。
殆どの絵が、古いスケッチブックに残っていた大昔に自分の楽しみだけで描いた絵なのですが・・・・
私が憧れたの画家たちの模写を置いた「憧憬の枝道」を散歩してみて下さい。
「散歩の小路」でも触れていますが『天井桟敷』のポスターを雑誌で見て、鳥肌がたつ程感動したものです。
高校生の時に『みずゑ』という絵画誌で出会った「サルバトーレ・ダリ」以来のショックでした。
現在も画風が変化し続けていますが、一目見ただけで(「宇野亜喜良」さんだ!」)と判る強烈な独自のスタイルとセンスにはいつも魅せられます。
1〜8迄の絵は、30年以上も前に触れ、当時、夢中になって模写した(其の侭というよりは、自分なりのアレンジも加えているのですが・・・)古いスケッチブックからピックアップしたものです。
9枚目の絵は、顔は何となく描いたのですが、構図はペン画による「宇野亜喜良」さんの絵を模写してアレンジしています。
昭和49年(1974年)発刊の『illustration now』という5人のイラストレーターの画集の中に 『宇野亜喜良の世界〜失楽園の妖精たち〜』が在ります。
他の4人も「井上洋介」「田名網敬一」「辰巳四郎」「井坂芳太良」さんというイラストレーターの 神様みたいな人ばかりの豪華な画集です。
此処に載せた宇野亜喜良さんの模写は、何度も繰り返してスケッチブックに描き写したその本の中の イラストばかりです。
60年代からずっと一線で活躍し続けて居られるのも凄い事です。
俳優としての斉加年さんを知っている人は多いと思うけれど、 絵画で活躍している事を知っている人は案外多くなかったりします。
これらの模写は意図的に自分風に変えたりしている部分はあるけれど、概ね、こんな雰囲気でしょうか?
『斉加年絵草子』などの妖しさは”絵師”と表現するのがピッタリです。
絵本も『魔法の使い方教えます』『多毛留』がボローニャ国際児童図書展でグラフィック大賞を受賞しています。
今でも何度も読み返す宝となった本、夢野久作の『ドグラマグラ』 その本に触れるきっかけとなったのが、文庫本の表紙を飾った米倉さんの妖しいイラストでした。
他にも「渡辺淳一」さんの文庫版で数冊、扉絵や挿絵に使われています。
『哀しみのヴェラドンナ』というアニメ映画をご存知でしょうか?(成人向けだったのかな?)
初期の頃のアニメ映画は、手塚治虫さんの作品でさえも漫画の良さが失われてしまった感じがしていました。
同じ「虫プロダクション」が、原画に「深井国」さんを起用して、独特の雰囲気のイラスト を、静止画をスライドさせたりと実験的手法で描き、ビートルズの『イエロー・サブマリン』と 似たような撮り方をした雰囲気が好きな映画でした。
興行的には思わしくなかった様で・・・ですから、当時の人でも知っている人は少ないかも知れません。
週刊誌の折り込みで連載されていた『アリス』のシリーズは夢中になって集めたりしたものです。
フスマ位の大きさの紙に模写して壁に飾ったりしていた時期もありました。
この絵は、その『アリス』からの模写です。
『詩とメルヘン』とか『MOE』という月刊誌が在りました。
「吉田倉久」さんはその『MOE』に投稿していて入賞しましたが、入賞前から気になる画風だったので、毎回、次回の投稿を楽しみに していた人でした。
本当の絵は画面全体にクラッキングを描き込んだ緻密な絵など、多彩な画風ではあっても、矢張り独自な 世界観を感じ、モチーフ的にも同調するものが在って、色々模写させて貰いました。
牛の絵の部分は私の絵ですが、女性の構成などの雰囲気を模写させて貰いました。
フォトショップよりはイラストレーターが適したデザイン系の画風に思えます。
「グスタム・クリムト」の様な豪華な感じの絵もありますが、エキゾチックともオリエンタルともとれる表情と、洗練された曲線やデザインは アール・ヌーボーや、アール・デコの様な風格と気品を感じます。
ここで模写させて戴いたのは『ギリシャ神話ー気まぐれな神々〜愛と別れと嫉妬と』という画文集の中からの一部です。
『ギリシャ神話』関係では、絵とともに洒落た文体で、その分野に造詣の深いところを見せる活躍をなされています。
ここでは、全く表現できていませんので、是非、ご本人の絵を見てみて下さい。
「大田慶文」さんの、模写です。
前述の「吉田倉久」さんと同様『MOE』という雑誌でずっと楽しみに見ていた人です。
ある時期から、画風を少し変えて油絵タッチの絵も多くなった様です。
少女の絵のシリーズは心を捉える絵が沢山ありました。
スケッチブックには他にも描きかけの摸写が沢山あったのでその時期には夢中になっていた様です。
次の絵は、「マリリン・モンロー」なのですが、 これは、単に、右側部分が模写したくて挑戦してみた『アトリエ』という美術誌に載っていた線画です。
余りにも古くて『アトリエ』の本自体が無くなってしまったので描かれた方の名前は判りません(ごめんなさい)。
左側の部分は勝手に付け足したような記憶があります。
丁度、「ハンス・ベルメール」の線による立体表現みたいなものに凝っていた時期の絵です。
「ハンス・ベルメール」は球体間接人形が有名ですが、エロチックな絵や、写真の為に、画集そのもが目に触れる機会は多くありませんでした。
線画の妖しさの虜になって、当時、書店で眺めるだけで買えなかった画集を、30年近く古書店で探したりしていましたが、値段は逆に何倍にもなっていて余計に買えなくなったという苦い思い出もあります。
暫くの間廃刊になっていたその画集が、再刊された事を最近になって知った時には、他の人の目に触れる機会が増えた事を嬉しく思ったものです。
「骰子の7の目」というその画集は題名からしてシュールな感じがしませんか?
その当時人気のあったシュール・レアリスムの画家達6人を6冊の本で紹介しています。
「ポール・デルヴォー」「マン・レイ」「ルネ・マグリット」「ゾンネン・シュターン」「マックス・エルンスト」
そして「ハンス・ベルメール」といった凄い人達ばかりを集めた画集なのです。
1枚目 バスケットの「デニスロッドマン」の点描です。
2・3枚目は『カルチャークラブ』の「ボゥイ・ジョージ」。
4枚目は映画『ロメオとジュリエット』の「オリビア・ハッシー」
5枚目は女優「秋吉久美子」さん
6枚目は女優「吉永小百合」さん
一枚目の「ロッドマン」以外は、落書き程度のモノですが、歴史は感じますねぇ
「ボーイ・ジョージ」なんて、若い人は知らないでしょうね。
う・・・・・・ん、ハイ、私の歴史なのです。
結局、纏まりの無い迷い道・・・・という印象でしょうか?
本来ならば、この枝道こそ私の一番誘いたい道であった筈が、思い入れが強かった分、勝手に押しつぶされて自滅してしまったという事みたいです。
そんな道を歩いて来て、最後に、この文章を目にしているアナタに、「ありがとう」の言葉を・・・・