自分の試した技法について
1:点描
1枚目は「デニス・ロッドマン」の点描による似顔絵です。ロットリングペンと同じ様な トンボのグラフィイクペン、芯先0.1ミリでひたすら点.点.点と・・・点を打ち続けて描きました。
2枚目の羊は、普通の点描だと、影は全部点で密集度で表現しますが 白黒をある程度ペイントして、点描を加えて加えると面白い効果が出ました。
3枚目の絵は入院中に退屈だったので、子供用みたいな落書き帳を買って、専用ペンの代わりに ボールペンで思いつくまま描いた絵です。
点は潰れるし、スキャナーで撮るとボールペンは奇妙な色で表現される事が判りました。
4枚目は「きたのじゅんこ」さんの模写にアレンジを加えた絵です、が・・・余り似ていません「きたの」さんゴメンナサイ!
5枚目の虎はパソコンのタブレットで点描を試してみた絵です。
タブレットの表面や、ペン先が壊れないか?と心配し乍らだったけど、意外に丈夫でした。
6枚目の絵は1998年に(点描で石の種類が表現出来ないか?)と上質紙にグラフィックペンで こんな石、あんな石と、想像し乍ら楽しんで描いた絵です。
虎の顔は「シム・シメール」さんから戴きました。
7枚目の牛は1997年だと思います。
翌年、(6枚目の絵)で、(今度は石の種類に挑戦!)という事が出来たのは、(石に傷や文字刻めないか?)と表現方法を試した、この年の最初の 挑戦があったからでしょうね。
8枚目の絵は、2010年と、比較的新しい絵で、厳密に言うと点描ではありません。
パソコンによる疑似点描とでも言うのでしょうか? タブレットペンで、点、点、点と加筆もしているけど「フォトショップ」の「フィルター」に因る 効果です。
では、もう苦労して点描しなくて済む様になった?・・・かというと、矢張り仕上がりは全然違うので 、それはそれで、一つの表現方法として楽しむ事としました。
それに、出来上がりにはそれ程興味が無くてプロセスを楽しむ自分は、この後も執拗にコツコツと点を打って いる様な気がします。
2:スパッタリング
道具として必要なのは専用の網・専用ブラシ(自分は歯ブラシの方が使いやすい)・カラーインク・ マスキングシート・マスキングシートを切り抜く為のペン型カッターといったところでしょうか。
1枚目の龍は、龍の部分は最後までマスクした侭で背景の模様を数種類作りました。
白っぽく見える部分がマスキングのかかった部分で、黒っぽく見えるのが切り抜かれて、色を塗る 部分です。
作った数種類分を繰り返します。
スパッタリングが、一度だけなら裏が粘着性のマスキングの方が良いのですが、こうして繰り返すのなら 紙を切り抜いた方が良いと思います(ずれない為の重りは工夫が必要ですが)。
マスキングシートでは一度塗られたインクが裏の粘着部分に付着して色が剥がれて薄くなるからです。
2枚目は「永田萠」さんの模写です。
蝶の羽の部分を型抜きしてスパッタリングしました。
本体や、羽の筋はカラーインクを使って筆で描いてあります。
3枚目の兎は最初にトレーシングペーパーで下書きをして(4枚目の画像)マスキングをします(5枚目の画像) 花の様な模様など色が細かく抜いてある部分は、マスケット・インクという、乾くとゴムの様になるドロっとした インクを使用してペンで描きます。
ゴムみたいになったその部分は、それをくっつけて取る専用の消しゴムみたいなモノが在るので、ペタペタとくっつけて剥ぎ取ります。
そうしてスパッタリングをした後で、マスキングを取り、隠れていた部分に色々書き加えたのがこの絵です。
失敗したので途中になった画像で申し訳ないのですが・・・それ故に手元に残っていたという事でもあります。
数年続いた好きな技法ですが、完成した年賀状は手元に無いので、どんな絵を描いていたかは余り覚えていなかったりするのが残念な気がしますけれど。
3:色鉛筆
色鉛筆は、そのまま鉛筆の様に描いたり(2枚目・「宇野亜喜良」さんの模写) 塗り絵の様に塗ったりする(3枚目・「深井国」さんの模写)のが普通ですが、(この2枚は半端になっていますが 何故かその時期にはこの位の塗りが好きだったので、完成したとしても色はこの位にしか使っていない筈です)
他の紙に色を擦り付けて、それをチリ紙で拾って化粧の様にパタパタと紙に擦り付けてボカシを付ける技法もあります。
それが1枚目の猿の絵で、マスキングを切り抜いた部分に、チリ紙を擦り付けて描いた絵です。
ぼんやりした青空を描いてから、消しゴムで消し乍ら綿雲を表現したりする事も出来たりします。
4枚目の絵はパリシアン・ブルーとして有名な「マックスフィールド・パリッシュ」さんの部分模写です。
その色に近づけようとサインペンも使ってみましたが、愚かな試みではありましたねぇ。
5枚目の絵は、余りにも古くて、何という方だったか忘れてしまったのですが、模写です。
この頃はこうした絵に凝っていた時期でした。
こういう絵を好むのは異常な性格だと言われた事もありましたが、この年(・・・)まで犯罪も犯さずに過ごして きたので・・・・多分、大丈夫なのではないかと・・・・???
こういう絵を描き、『ドグラ・マグラ』が愛読書な訳ですから怪しい奴だったかも。
6枚目は「秋吉巒」さんの模写で、これもその頃の古い絵です。
前の絵と考え合わせると・・・・私は大丈夫かな・・・あれ?自信無くなってきた・・・・。
4:インク・サインペン
サインペンは重ね塗りが難しくて、単色で使っていました。
それが、或る雑誌を見ていてこんな技法があったのか!と早速試してみたのが・・・
1枚目の猪の絵です。
必要な道具は、紙パレット(使い捨てパレットが売っています)や皿(インクは毒なので、食用の皿を使用する場合は、専用にして、食用との兼用は避けて下さい)水を入れたコップ(筆を洗ったり、色を薄めたり、グラデーションをかけたりする 時に使用します、これも使用後は飲用にはしない事ですね)
それと、筆が2〜3本(一本でも構わないのですが、インクは直ぐに浸み込んでしまうので、 手早く処理しないと加工出来なくなります)
元絵は、水に滲まない筆記用具で描いた方が良いのですが、滲みはそれなりの面白い効果もあったりします。
この絵の場合は、元絵を葉書にコピーして、着色しました。
パレットにサインペンを塗りつけて、筆でその色を拾って塗り上げます。
濃い、薄いは筆に含ませた水の具合で調整しますが、自分が思うよりもかなり濃くなると思います。
単色を薄くグラデーションするのなら、最初に塗った後で、素早くその筆を水で洗って、(或いは2本目の水 を含んだ筆で)塗りの途中辺りから終点まで色を引っ張ります。
違う色とのグラデーションは、(例えば赤と青ならば)赤を、青を塗る予定の場所の半分くらいまで引っ張り、 直ぐに、青を赤に向かって反対から引っ張ります。
素早く交差した真ん中の辺りを水だけの筆で左右に軽く撫でると出来上がりです。
サインペンで直接塗るのとは違い、微妙なグラデーションが出来る事と、色を自分で作る事も出来る、何よりも、 発色の良さ!、当時のプリンターでは表現出来なかったRGB的な鮮やかな色が表現されました。
2枚目は「吉田倉久」さんの模写です。
これも上記の方法で描いたのですが、水の代わりに白インクを少し含ませた筆でなぞって試してみました。
インクの持つ透明感は無くなりますが、独特の淡い色になって感動した思い出があります。
3枚目は少女漫画の模写で技法としては1枚目と殆ど同じですが、水の量でグラデーションさせています。
4枚目はカラーインクの一人者「永田萠」さんの模写で、サインペンで挑戦してみましたが、やればやる程 「萠」さんの凄さが判りました。
滲んだり、濁ったりで、とても真似出来るものでは無かったですねぇ。
5枚目の絵は、偶然、赤を青で囲む、反対に赤を青で囲むと発光している様に見えたので、実験したくて 描いてみた絵です。
結果・・・パソコンでは表現出来て居ませんが、矢張り光って見えたのが嬉しかった事で満足してしまい未完の侭で スケッチブックに眠っていた絵でした。
5:鉛筆
鉛筆の技法って?
そうでした・・・・鉛筆は誰でも知っている訳ですね。
「鉛筆は、鉛筆にして、鉛筆に非ず、鉛筆とは鉛筆也!」・・・と、禅問答ではありませんが 鉛筆とは何ぞや?の答えは自分にはまだ出せていません。
昔「アトリエ」という絵画の本で鉛筆で描いた絵の特集を見た時に「これが鉛筆で描いた絵?」と 信じられず、鉛筆で此処まで表現出来るの?」と驚いた絵が在ったのです。
而も、一作品という訳ではなく、殆どの絵が素晴らしかった事も衝撃でした。
勿論、その世界で活躍している方々の絵なのだから当たり前と言えば当たり前なのですが。
それで、自分なりに研究はしてみました、鉛筆を立てて描いたり寝せて描いたり、6H〜6Bまで揃えて使い分けしたりして。
1枚目の「オリビア・ハッシー」の似顔絵はその頃の絵だったりします。
2枚目は素早く描くクロッキーの練習をしていた頃の絵です。
3枚目は、在り得ない絵を描く事に凝っていた時期の下書き絵です。
4枚目の羊の下書きは、ガチガチで訳の解らない絵ばかり描いている訳では無いのですよー のアピールな訳で、「だから?」と訊かれると返答には詰まります。
正常な部分も残っているという証としての一枚です。
たかが鉛筆、されど鉛筆!という事で、強引に締めにかかりたいと思います。
6:シルク・スクリーン
昔の謄写版?(今の若い人は謄写版と言ったら、逆に判らない人も居るのかな?)
シルクスクリーン こういう技法が在って、家庭でも出来ますよというだけの話です。
看板屋さんが使っている大きなモノしか観た事が無かったので、葉書用のセットが在る事を知って 早速手に入れて試してみました。
詳しい内容は専門のサイトの方が解りやすく親切に解説してくれるので記しませんが 重厚な感じの仕上がりは、出来上がった作品を見た時の大きな喜びと成る事請け合いです。
板を開けるまでどうなっているのか解らないのでワクワク・ドキドキ・・・・・ それが、成功していた時には「ヤッター!」という気分になりますよ。
富士山から下の部分がシルクスクリーンに因る多色刷りです。
例によって成功分は無く、未完の一枚が手元に在るきりですが、この画像で伝えられたでしょうか? 次の一枚は羊の下絵です。
こうして、白黒はっきりさせた、一種、切り抜き絵の様な絵が適していると思います。
7:ロットリングペン
所謂、線画という事なのですが、 ペン先は実に色々種類があるのをご存知でしたか?
最初に知った時にはどういう時に、どのペン先で?と迷い、戸惑ったものです。
一般的な、スクールペン、カブラペン、英語表記に適したGペン位しか知らなかったのですから・・・
私が当時よく使っていたのは、点画に適していた丸ペンと呼ばれるペンで、丸い筒になっている為に 専用のペン軸が必要でした。
デザイナーは、ロットリングペンという高価なペンを使っていますが、同じ様なタイプのペンが トンボから発売になり、以降ずっと愛用しています。
ロットリングペンの良さは、線を描いている途中でインクが切れて、インクを付ける為にペン先を その線から離さなければならない付けペンタイプと違い、最後まで同じ幅の均一な線を引く事が出来る 事です。
一度離した線の続きを描くのは至難の技ですから。 万年筆は角度によって線の太さが違ったりしますし、何より0.1ミリなどというペン先は当時は見ませんでした。 ここでの絵は、トンボのグラフィックペンに因るものです。
ですから、ここでの表題は、正しくは「ロットリングペンの様なもの」ですか・・・見栄張ってました!
8:3Dソフトとの組み合わせ
shadeという3D(今流行の眼鏡をかけてると、飛び出す)というのとは違う意味の立体形を作る ソフトとフォトショップの間を行ったりきたりしました。
1枚目:戌年の瓶と2枚目の亥年の瓶は3Dソフトで作った全く同じ瓶です。
3枚目の絵は戌年用に作ったラベルです。
4枚目は3Dソフトで作って表面の素材を氷の様にしてみた文字を使った年賀状です。
5枚目は3Dソフトで猿の絵を箱を作り、それをレタッチソフトに呼び込んで細工した申年年賀状用のパーツです。
最初は手間はかかりますが、1度作り上げた素材は、角度を変えたり、表面の細工で、ただの丸い球体が金属球になったり 毛糸玉になったり出来るので便利です。
それに、ガラスの玉にした場合は背景がそれなりに歪んで透けて見えたりもしますし、左右に配置した物体も映り込んだりもします。
絵で描いた場合は、(ビルの角度がもう少し上から見た感じだった)などどいう場合はビル全体をもう一度描き直さなければなりません。
そういう風に考えると場合にもよりますが、かなり便利に使えると思います。
ただ、手間もかかるのですけどね。
最初に「イラストレーター」や「フォトショップ」などで瓶に貼り付ける為のラベルや背景を作ります。
それを3Dソフトの中に持ち込んで、背景を置き、透明な瓶の向こう側の透け具合を調整した作った瓶に、ラベルを貼り付けて画像を作ります。
作りますなどと書いたのですが「作らせる」とか「作って戴く」といった気持ちになったりするのですけど・・・・描くというよりは計算をしてくれる訳ですから。
そこで出来上がった画像をまた、レタッチソフトと呼ばれる「フォトショップ」などで呼び込み、合成や補正をして最終仕上げとなります。
こうして苦労して仕上げた絵でも、昔ながらの知人などからは手書きでなくなったというだけで「あ・パソコンで描いたんだ」とそっけない反応を貰ったりするのですけどね。
(自分でやってみろ!)と叫びたい気もしますが、パソコンなら苦労しないで、何でも寝ている間に出来ちゃうと思い込んでいる輩には無駄でしょうねぇ。
そして、確かに、一度描いてしまえばアレンジ自由、使いまわし自由・・・と、楽をさせて貰っているのも確かな訳ですから。
判って貰えなくても・・・・頑張れ自分!
9:グラスリッツェン
グラスリッツェンとは・・・・
グラスリッツェンは絵画とは直接関係が無いのかも知れませんが、一応、ガラスに絵を刻むという事で載せてみました。
点描が好きだったから、雑誌で「グラスリッツェン」のグラスの写真を見た時に何だか自分にも出来そうな気がしたのです。
娘に「グラスリッツェン」って知っている?」と尋ねると、数日後セットが送られてきました。
これは、やらねばなりません!
最初は上手くいくかどうか判らないので、100円ショップでグラスを買って早速試してみました。
1枚目が試作の始めてのコップです。(あとから知ったのですが、本当は、適したガラスがあるのだそうで仕上がりも美しいという事です・・・高いのでこの段階で試すには躊躇いが・・・)
2枚目の絵はその作業の元になった自分のスケッチブックの中に在った落書きの絵です。
絵をコップの内側に貼り付けて、表面側を専用のダイヤの付いたペンで突っついて傷を付けるのです。
注意しなければならないのは白黒反転の発想をしなければならない事で、鉛筆画と逆に白い部分を書き込む訳です。
後はひたすらコツコツと突っつく作業が続きます。
3枚目の写真は、今度は皿に挑戦してみた2作目の作品です。
「何の絵がイイと思う?」と誕生日前の妻に訊いて、リクエストを貰ったのは『フレンズ』という映画で、「エルトン・ジョン」が手がけた主題歌 レコードのジャケットのこの絵でした。
蛇足なのですが、結婚する前にも一度、頼まれて1メートル四方の紙に同じ絵を描いた事がありました・・・・その時は総て色鉛筆だったものだから あっという間に鉛筆が減り、何本も買って用意した覚えがあります。
それが、この時には100円の皿で済んでしまったりしたという、お得な情報でした。
そんな事よりも、この程度ならば思った程、難敵では無かったのですけど、手をかけたなら芸術!と思う作品が関係のサイトや本に 載ったりしています。世界に一つだけのグラスというのも素敵じゃありませんか?
技法の枝道行き止まり
またもや、樹海にでも迷い込んだ様な気分にさせてしまいました?
冒頭に記した通り、題名を先に考えてから始めたこの枝道は実際に草を分け、道を作り始めたら、肝心の敷き詰める石が足りな過ぎる事に気付いてしまった・・・という状態でした。
(確か、この辺に・・・)と頭の中を探し回りましたが、殆どが風化してしまって形も無く、見つけた敷石も手に取ったら崩れ落ちる状態だったりして。
頭の中を駆けずり回り、部屋の中を駆けずり回り、押入れの中も掻きずり回し・・・・
なんとか敷石を並べる事だけは出来ました。
歩きにくかったでしょうね?
でも、此処がこの枝道の最終地点・・・おつかれさまでした。